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2019年度センター英語(筆記)の解答・解説・和訳
第6問
(1)
森の中の小川のそばの静かな野道から都市に伸びる混雑した道路まで、人々は様々な場所に様々な形の道を作り出してきた。これらは今や至る所に存在し、その使い方は社会にとって非常に重要である。これらの道があるがゆえに、移動、物資の輸送、情報のやり取りといったことを早くかつ安全にすることができる。長い歴史の中で、道は日々の生活において常に重要なものであり続けてきた。
(2)
初期の道は、しばしば地面の上に自然に形成された。それらは長い時間をかけて、人々が足や馬でその上を歩くうちに徐々に発達していった。道の歴史の中での重大な転機が訪れたのは、古代、車輪の付いた荷車が初めて登場した時であった。一度これが起こると、整備された道の重要性に人々が気付いたのである。これにより、町、都市、そして国全体が、繁栄のために道を改良していった。その結果、生活はより便利になり、社会は成長し、経済は進化し、文化は広まった。地上の道は、特に自動車の登場後、さらにその重要性を増した。
(3)
人々は水の上にも道を構築した。河川や運河は、人々が移動をしたり物を運んだりするのに効果的な道として働くことになった。たとえば、古い日本の町である江戸では、水の道は農産物や海産物、木材などの輸送に利用され、これによって町の生活と経済を支えた。人々はまた、海にも道を開いた。海の道、すなわち海道は、風や波、深さ、そして沿岸の地理的構造などを基にして発達したが、これは船の航行にとって必要不可欠であった。主に風力によって航海していた時代は特にそうであった。これらの海の道を利用することで、人々は非常に長い距離を進み、かつて到達したことのない場所へ行くことができるようになった。数々の重要な海の道が出現し、天然資源や生産物、知恵などがやり取りされるようになった。このことで逆に都市や町の繁栄が促進されることとなった。
(4)
人々はさらに、空にも道を開いた。飛行機が発明されて以来、空の道は人々が長い距離を簡単に行き来することを可能にした。人々は風や気流などの状態を考慮することにより、最善の道を発見した。やがて、人々ははるか上空で、安全かつ快適に移動をすることができるようになり、広大な距離を進むのにほとんど時間を必要としなくなった。実際、人々はかつて、船で日本からヨーロッパに行くのに1ヵ月以上を必要としたが、今日では飛行機でわずか1日あればその間を行き来できるようになった。こうした空の道の確立により、非常に多くの人々が今では観光をしたり、友人を訪れたり、仕事をしたりするために世界中を飛び回っている。
(5)
今日、我々は新たな種類の道を手に入れている。情報の電子的な交換に特化したインターネットである。この世界規模の道を利用すれば、かつては主に本や対面での情報伝達で得られた情報が簡単に入手できる。人は瞬時に多数の人々にメッセージを送ることができる。ある研究によると、世界の人口の半分である35億を超える数の人々がこの電子の道を利用しているという。技術が進歩するに従い、情報を集めて伝達するためにこれを利用する人の数はますます増えていくであろう。
(6)
人類がこの世に存在する限り、彼らを結ぶための道が存在する。それは人、物、そして情報の移動に貢献するだけでなく、我々の暮らす社会、経済、そして文化の発展にも貢献してきた。人類の発展と繁栄において、道は非常に大きな役割を果たしてきた。今はまだ未知なる道が、きっと将来、我々をさらに先へと導いてくれるであろう。
問1 ②
第1段落の下線を施された単語imperativeの意味に最も近いのは次のうちどれか。
①偶発的な
②必要不可欠な
③産業の
④伝統的な
下線部を含む文は、“their use is imperative for societies”「それら(道)の利用は社会にとってimperativeだ」となっており、選択肢の単語の意味さえ分かればすぐにわかるようになっている。特に読解力を必要としない、単なる語彙力測定問題。
問2 ③
第2段落によると、次の記述のうちどれが正しいか。
①初期の道は車輪の付いた荷車によって移動した人々によって作り出された。
②人類最初の地上の道は、町や都市の成長の後に続いた。
③地上の道の発達は社会の多くの分野における進歩へとつながった。
④道の改良により、結果として自動車の発明につながった。
3行目の“A significant turning point in their history arrived when the first wheeled carts appeared in ancient times.”「道の歴史の中での重大な転機が訪れたのは、古代、車輪の付いた荷車が初めて登場した時であった。」が読み取れれば正解できるだろう。①、②、④はどれも因果関係が逆である。
問3 ④
第3段落で江戸の例が紹介されているのはなぜか。
①水の上に道を作り出すことの難しさを説明するため。
②それが重要な町であるという事実を強調するため。
③沿岸部に沿って移動するために水の道を利用することを説明するため。
④町や都市にとっての水の道の重要な役割を説明するため。
3~5行目にかけて、“water routes were used for the transportation of agricultural products, seafood, and wood, which supported the city’s life and economy”「 水の道は農産物や海産物、木材などの輸送に利用され、これによって町の生活と経済を支えた」とある。
問4 ①
第5段落は道について我々に何を伝えているのか。
①道は目に見えない形で世界に存在していると見なすことができるということ。
②情報を移動させる道は危険とみなされることがあるということ。
③道の基本的な機能が衰退しつつあるということ。
④様々な種類の道の重要性は同じだということ。
どの選択肢も直接本文で触れられていないので、趣旨の方向性と照らし合わせることになる。①は、“existing invisibly”「目には見えない形で存在する」に注目し、 “land route”「地上の道」、“water route”「水の道」、“sky route”「空の道」はすべて目に見える道であることとの対比であることを捉える。②は“dangerous”、③は“declining”、④は“the same”「同じ」という語句について、本文からはそれらの趣旨は読み取れないため消去する。
問5 ④
この記事の主な要点は何か。
①人類は初めて地上に様々な種類の道を作り出した。
②交通手段の改良は大きな犠牲を払って行われてきた。
③技術は世界中で道を切り開くことを妨げてきた。
④人類の進歩は道の発達によって支えられた。
結局のところ「道ができて暮らしが発展する」という内容であり、問2とほぼ同じ趣旨が問われているので、問2にちゃんと正解できていれば勝手に正解できてしまうであろう問題。やや作問に不手際を感じる。
B ①④②③
①人、動物、車によって使われる道の創出
②人類が空を飛んで移動するための方法の開発と発展
③情報転送のための世界規模の道の確立
④船が航行し物資を輸送するための航路を開くこと
本文は段落ごとに「陸」「海」「空」「電子(目に見えない)」と進むのでわかりやすい。よほど不注意でない限り間違えることはないと思われる。
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