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2019年度センター英語(筆記)の解答・解説・和訳
第3問A
問1 ①
アメリカ上空を飛行機で飛んでいると、地上にコンクリート製の巨大な矢印が見えるかもしれない。今でこそ、この矢印は基本的には単なる珍名所にすぎないが、以前は、アメリカ横断をする飛行士にとって必要不可欠なものであった。①これらの矢印はそれは見事なものであると見なされており、大西洋に浮かべようと提案する者もいたほどだった。②飛行士たちは、ニューヨーク・サンフランシスコ間を横断飛行する際にこの矢印を目印として利用した。③飛行士たちは、16キロメートルごとに、明るい黄色で塗られた全長21メートルの矢印を通過するのだった。④中心部にある回転灯と両端に一つずつある照明のおかげで、この矢印は夜間でもよく見えた。1940年代以降、別の航行手法が導入され、今日ではこの矢印はほとんど使われなくなった。しかし、モンタナ州の山間部を飛ぶ飛行士たちは、今でもこの矢印に頼ることがある。
3行目の“pilots absolutely needed them”「飛行士たちはそれらを絶対に必要とした」に注目し、『なぜ必要としたか』という疑問を頭に浮かべた上で、直後の①~④の内容を比較検討する。すると、②~④は矢印の具体的な説明であるのに対し、①は単に矢印の素晴らしさを強調しているにすぎず、「なぜ必要としたか」に答えていないため不適切であるとわかる。
問2 ②
都会で暮らすことと田舎で暮らすことは異なる能力が求められる。これはもちろん人間にあてはまることだが、実は鳥にもあてはまる。ある研究では、研究者らはカリブ海に浮かぶ島国の一つバルバドスの鳥を都会と田舎の両方から集め、さまざまなテストを実施し、元の環境に戻してやった後、そこでの発見を報告書にまとめた。①都会にいた鳥は、田舎の環境にいた鳥よりも問題解決能力を問うテストにおいて優秀であった。②研究者らは、各グループの鳥の違いを見出すためにいくつかの実験を準備した。③都会の鳥は、病気に対する抵抗力を田舎の鳥よりも多く持っていた。④研究者らは、田舎の鳥との比較において、都会の鳥のほうが賢く、しかし弱いであろうと予想していた。賢くかつ強いというのはまずありえないだろうと考えていた。ところが、都会の鳥はその両方を持ち合わせているようだ。
①の次に②を読むと順序が逆転しているように思える。さらに③、④と読み進めると、どちらも①と直接つながる話題であり、④の後にもスムーズにつながるため、②が不適切と判断できる。ただし、④は“had expected”の時制(過去完了)に注目し、鳥へのテストを行う前のことが書かれていることに気づかないと混乱する。ちなみに、結果的に①と③が直接つながるわけだが、③にmoreoverやalsoといった流れを示す語句が含まれていないのは、解答者を惑わす意図があるにせよ、やや悪文のように感じる。
問3 ④
チューダー(テューダー)朝(1485-1603)時代のイングランドの公式のディナーは、フィースト(饗宴)と呼ばれていた。それは盛大で、主催者の富と地位を示すためにあらゆることに神経が注がれていた。①フィーストで起こることのすべてが社会的階級を反映していた。なんと入室する順番すらもである。②最上級席が設けられ、最も階級の高い招待客が王または女王の右側に座った。③金や銀の皿もまた、その一族がどれほど裕福であるかを強調するために配置された。④チューダー朝の時代に催されたフィーストの様子は種々の映画の中で豊富に描かれてきた。招待客は主催者よりも先に食べ始めることは許されず、主催者が食べ終わったら食べるのをやめなければならなかった。いつ食べられ、いつ食べられないかは、厳格で複雑な規則に従ったが、これはフィーストのあらゆる側面でそうであったのと同じである。
2行目の“everything was done carefully in order to show one’s wealth and place in society”「社会での富と地位を示すためにあらゆることが注意深くなされた」という内容に注目し、『何がなされたか』という疑問を頭に浮かべた上で、直後の①~④の内容を比較検討する。すると①~④のうち、①~③はフィーストでの具体的な出来事が書かれているのに対し、④はそうではない。④の後もフィーストの具体的な出来事が続いているため、④が不適切だと判断する。
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