第5問
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正解・配点
問1[30]4(3点)
問2[31]3(3点)
問3[32→35]2→4→5→3(3点)※完全解答
問4[36]3(3点)
問5[37,38]1, 5(3点)※順不同、完全解答
和訳・解説
本文
あなたの英語の先生は、クラスの全員に、人を奮い立たせるような物語を探し、ディスカッショングループでそれをメモを使いながら発表するように言いました。あなたは、あるイギリスの高校生が書いた物語を見つけました。
卓球からの教訓
Ben Carter
ボールは稲光のような速さで僕のバックハンドに飛んできた。それは完全に予想外のことで、反応すらできなかった。このポイントを奪われたことで僕は負けた。負け… またか!卓球を始めて数ヵ月はこんな感じだった。このときは悔しくてたまらなかったが、今ならわかる。卓球というスポーツは、ただ単にスポーツの上達のしかただけを教えてくれたわけではなかったのだ。
中学時代、僕はサッカーが大好きだった。得点力はトップクラスだったが、チームメイトとはうまくいかなかった。監督には、もっとチームプレーをしろとよく言われていた。努力すべき問題だということは自分でもわかっていたが、コミュニケーションだけはどうしても苦手だった。
家族が他の町に引っ越すことになり、サッカークラブを辞めなければならなくなった。どのみちサッカーをやめることは決めていたので、動揺はしなかった。新しい学校には卓球クラブがあり、体育の Trent 先生が顧問をやっていたので、そこに入った。正直に言うと、僕が卓球を選んだのは、サッカーよりも個人プレーがしやすいと思ったからだ。
最初のうちは勝つことより負けることのほうが多かった。悔しさでイライラして、誰とも口をきかず、練習が終わるとまっすぐ家に帰ることもよくあった。しかしある日、Trent 先生にこう言われた。「お前は上手くなれると思うぞ、Ben。でもな、もっと自分の試合について考えなきゃいかん。考えなきゃいかんことは何だと思うね?」僕は「わかりません」と答えた。「もっとボールに集中することですか?」 Trent 先生は「そうだな」と言った後に続けて、「でも、相手の動きをよく見て、それに合わせて自分のプレーを調節することも必要だぞ。相手は人間であってボールじゃない。それを忘れちゃいかん。」この言葉が深く印象に残った。
相手の動きをよく見て、意識的に自分のプレースタイルを修正していく。これは簡単なことではなく、かなりの集中力を必要とした。しかし、その努力は報われ、僕のプレーは上達した。自信もつき、練習後に他の生徒よりも長く残るようになった。徐々にスター選手になり始め、同級生から声をかけられることも増えてきた。人気者になりつつあるように思ったが、会話はまともに始まりさえしないうちに終わったようになってしまう。プレーは改善していたかもしれないが、コミュニケーション能力が改善していないことは明らかだった。
兄の Patrick は、僕がうまくコミュニケーションを取れる数少ない人間の中の一人だった。いつだったか、僕は自分のコミュニケーションについての問題を説明しようとしたが、理解してもらうことはできなかった。僕らは話題を変えて卓球の話をした。「実際どんなところが楽しいの?」と彼は興味深そうに尋ねてきた。僕は、相手の動きを分析し、次の動きを瞬時に判断するのが好きだと答えた。Patrick は考え事をしているような顔をした。「言われてみると、それってさ、俺たちがコミュニケーションを取るときに使う技術と同じものっぽいな」と彼は言った。
その時はわからなかったが、その会話のすぐ後に、僕は卓球のトーナメント大会で銀メダルを獲得した。同級生たちは本当に嬉しそうだった。そのうちの一人、George が駆け寄ってきた。「おい、ベン!勝利を祝してパーティーをやろうぜ!」と彼は言った。僕は思わず、「無理だよ。練習があるんだ。」と返してしまった。彼は少し傷ついたような顔をして、それ以上何も言わずに立ち去った。
なぜ、彼は動揺したのだろう。僕はこの出来事について長い間考えていた。なぜ彼はパーティーを提案したのだろう。僕は何か違うことを言うべきだったのだろうか。たくさんの疑問が頭に浮かんだが、やがて、彼はただ単に親切にしていただけだったということに気がついた。もし僕が「いい考えだね。ありがとう! Trent 先生に相談して、練習を休めるか確かめてみるよ」と言っていたら、もっといい結果になっていたかもしれない。その瞬間、Patrick の言葉が腑に落ちた。相手の意図を汲み取ろうとしなければ、返答の仕方はわからないのだ。
僕はまだコミュニケーションがそこまで上手いとは言えないが、以前より確実に自信を持てるようになった。来年は、友人たちと一緒に、他校との卓球リーグを開催することになっている。
あなたのメモ:
卓球からの教訓
著者について(Ben Carter)
- 中学校でサッカーをしていた。
- 転校先で卓球を始めたのは彼が[30]から。
他の重要人物
- Trent 先生:Ben の卓球部の顧問で、Ben の上達を助けた。
- Patrick:Ben の兄で、[31]。
- George:Ben の同級生で、Ben の勝利を祝福したがった。
Ben がコミュニケーションを上達させる過程で影響を与えた出来事
卓球を始める→[32]→[33]→[34]→[35]
George との会話の後に Ben が気づいたこと
彼は[36]すべきだった。
僕たちがこの物語から学べること
- [37]
- [38]
【解説】
昨年までと同様、ある人物の物語を読んでプレゼン用のメモを作成していく形式である(ただし去年までは実在の人物)。出来事の起こった時系列や因果関係などに注目して、ひと段落ごとに頭の中を整理して読み進めると良いが、進みが遅すぎると読んだ内容を忘れてしまいかねない。英文記憶力を試すのに良い形式だ。
設問・選択肢
問1 [30]に入れるのに最もふさわしいものを1つ選びなさい。
- それがコミュニケーションの助けになると信じていた
- 学校で人気者になりたかった
- 試合に簡単に勝てると思った
- チームスポーツをするのを避けたかった
【解説】
Ben が卓球を始めた理由が書かれている部分を探せばよい。
第3段落最終文に I chose table tennis because I thought it would be easier for me to play individually(僕が卓球を選んだのは個人プレーがやりやすいだろうと思ったからだ)とあるので4が正しい。
問2 [31]に入れるのに最もふさわしいものを1つ選びなさい。
- Ben にコミュニケーションのどこが楽しいのかを尋ねた
- Ben にもっと自信を持つように言って励ました
- Ben にとって必要な社会的技能を習得する手助けをした
- 学校の友人に何と言うべきだったかを Ben に教えた
【解説】
Patrick とのやり取りは第6段落のみ。話の全体像を理解できれば答えは明らかだが、正確を期すために消去法で丁寧に選択肢を消していくのもよいだろう。
- Patrick はコミュニケーションではなく卓球について尋ねたので×。
- このような記述はないので×。
- 第6段落最後の言葉 That sounds like the kind of skill we use when we communicate(それって、俺たちがコミュニケーションするときに使うスキルと同じものみたいに聞こえるな)は直接的な答えではないが、後で Ben がこの言葉の意味に気づくことで結果的に助けとなったので○と見なしてよいだろう。
- このような記述はないので×。
以上より3が正しい。
問3 下の5つの選択肢のうちから4つを選び、それが起こった順番に並べ替えなさい。[32]→[33]→[34]→[35]
- 卓球のチャンピオンになった
- 上手いプレーのしかたについて顧問の先生と議論した
- 彼を称えるパーティーを断った
- 対戦相手をよく見ることを始めた
- 兄と卓球について話した
【解説】
ダミーを除外しつつ時系列順に並べ替える必要があるので、段落ごとに何が起きたかを整理しながら読み進めてこないと何度もページを見直す羽目になるだろう。メモを書くのも一つの手だろうが、この問題では文章の流れが時系列に沿っているか否か(途中で回想が挟まるなどして、文章の順序と時間の進みが異なることがあるかどうか)も確認しなければならないため、全文を読み終えてから解く必要がある。まさに英文記憶力の本領を発揮させなければならない問題である。
まず、ダミーは1である。これはわかりやすかっただろう。第7段落にはっきりと I won a silver medal(銀メダルを取った)と書いてある。金メダルでなければ champion とは言わない。
残りの選択肢については下記の通り。
2. 第4段落後半。ここで「対戦相手を study する」ことを勧められた。ニュアンスでもわかっただろうが、study には「注意深く見る」といった意味があることを覚えていればなおよい(過去の東大二次でこの study の意味が問われたことがある)。
3. 第7段落。
4. 第5段落。第4段落で顧問の先生に勧められた方法を実践している場面である。
5. 第6段落。
この文章は第2段落以降は時系列に沿って書かれているので、段落の若い順に並べればよい。
以上より2→4→5→3が正しい。
問4 [36]に入れるのに最もふさわしいものを1つ選びなさい。
- 自分のモチベーションについて解明するために友人に質問する
- 感謝の気持ちを示すために Trent 先生と同級生をパーティーに招待する
- 適切に行動するために友人の視点を理解しようとする
- 上手なコミュニケーションのためにチームプレーを上達させるようと頑張る
【解説】
まず、メモの該当部分の見出しは What Ben realized after the conversation with George(George との会話後に Ben が気づいたこと)であること、さらに、空所[36]の直前に He should have があることを見逃してはいけない。ここには過去分詞を続けて「~すべきだったのに」という意味が入ることになる。つまり、「George と話した後に気づいたことで、Ben は実際にはやらなかったが、やればよかったのにと思ったこと」を本文から探す必要があるということだ。注目すべきは第8段落である。
- このような記述はないので×。
- 本文からは「招待する」までは読み取れないので×。
- 第8段落で I realised that he was just being kind(ただ単に彼は親切にしていただけだということに僕は気づいた)と書かれている。それに気づいたからこそ、その直後に George への返答例が頭に浮かんだのである。適切な行動 = George への返答、友人の視点 = George の視点ということになるので○。
- このような記述はないので×。
以上より3が正しい。
問5 [37]と[38]に入れるのに最もふさわしいものを2つ選びなさい。(解答の順序は問わない。)
- 周囲の人々からの助言は自分を変える助けとなる。
- コミュニケーションの上手さにおいて自身は重要だ。
- 友人に対して意図を明確にすることは大事だ。
- チームメイトが互いに提供しあうサポートは有用だ。
- あるものから学んだことは別のものにも応用可能だ。
【解説】
メモの見出しは What we can learn from this story「この物語から学べること」である。
- この話では顧問の Trent 先生と兄の Patrick から助言を受けたことで Ben のコミュニケーションが改善するきっかけとなったことがわかるので○。
- 第5段落第4文に My confidence grew(自身がついた)とあり、同段落最終文に Although my play might have improved, my communication skills hadn’t.(プレーは改善していたかもしれないが、コミュニケーション能力が改善していないことは明らかだった。)とある。Ben の場合は自身はついてもコミュニケーションは改善しなかったので×。
- 第7段落で Ben は George がパーティーを開こうと言ったことの意図がわからず断ってしまったが、これは Ben がよく考えもしなかったことが原因であり、George が意図を明確にしなかったわけではない。ここ以外で意図に関する記述はないので×。
- サポートに関する記述はないので×。
- Ben は第8段落で卓球のテクニックをコミュニケーションでも利用できることに気づいたので○。
以上より1と5が正しい。
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