できれば避けて通りたいという人も多いであろう自由英作文・英検ライティングですが、その理由はまだまだ対策法があまり知られていないからでしょう。
このページでは誰にでも簡単にできるおすすめ対策を惜しみなくご紹介します。
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自由英作文は満点狙いでいくもの
想像してください。
あなたが練りに練って書き上げ、何度も添削を受けて完璧になった作文があるとします。
あなたはその添削と書き直しの過程で、答案の内容はすっかり頭の中に入っており、いつでもスラスラ暗唱できます。
そしていざ試験本番。
なんとそのテーマが出題されました!
さあどうなるでしょう?
あなたの頭の中には完璧な解答があるわけですから、ただ覚えている通りに書くだけで限りなく満点に近い答案が書けてしまいますね。
しかも、考える必要もありませんので、ほとんど時間をかけずに終わらせることができるのです。
そうなればきっと、他の問題を解く時間も余分に確保できて正答率も上がるでしょう。
こんなにうまくいくわけないと思うのは自由ですが、要するに、対策の仕方によっては満点の可能性がある、ということさえ分かってもらえればいいのです。
逆に、何も考えず適当な対策をしていると、0点を取る可能性もあるのが自由英作文の怖いところです。
「書くことが思いつかない・・・」
↑これ、怖いですよね。もし本番でこうなってしまったら・・・
せっかく対策をするなら満点狙いしかないでしょう。中途半端に部分点狙いなんて言ってると足元をすくわれます。
難しいことは何もありません。続きを読んで、遠慮なく満点を取ってください。
第一志望の過去問は解く必要なし
大事なことなので先に書いておきます。
自由英作文の対策として自分の第一志望の過去問を解いている人は、時間がもったいないので今すぐやめましょう。
あなたが自由英作文の出題者だったとして、過去に出題されたテーマを使いたいと思いますか?
普通は違うテーマを考えて出題しますよね。
つまり、第一志望の過去問の答案をたくさん作っても、せっかく書いたその答案を本番で使うことはまずないのです。
もったいないと思いませんか?
そのかわり、他大学・他学部ならば出題テーマが重複する(カブる)可能性が十分にあります。
※ただし、時間配分などを知るために、他の問題と合わせて自由英作文の問題を解くのはかまいません。本番と同じ条件で過去問を解いておくのはとても重要なことです。ただし、これは本番対策であって自由英作文対策ではありませんので、そこは区別しておいてください。
今すぐ始めるべきこととは?
では改めて、自由英作文対策として今すぐやるべきことを見ていきましょう。
第一志望の過去問を全部集める
まず下準備として、第一志望校の過去問を全て集めて目を通しましょう。
といっても、自由英作文の出題のある年度だけです。
そうすることで、今後まず出ないテーマがはっきりします。前の項目で書いたように、同じテーマを出題することは考えにくいからです。
主要な大学の自由英作文テーマは以下を参照してください。
もし上のページにない大学・学部の問題が必要であれば、古本で赤本や青本を入手するか、東進ハイスクールの過去問データベース(要無料会員登録)を利用してできるだけ集めてください。
あるいは、お問い合わせからリクエストしていただいてもかまいません。できる限り対応します。
過去のテーマ全てに目を通したら、メモを取るなりしていつでも確認できるようにしておきます。問題丸写しではなくキーワードなどを簡潔にまとめておきましょう。
他学部・他大学の過去問もできるだけ集める
次にすべきことは、第一志望で出題されていないテーマと解答例を他の大学や学部から集めることです。
もちろん、ただ闇雲に集めるのではなく、第一志望の出題傾向にある程度合わせた方が対策の効果は上がります。
以下の3点に注意して探してみましょう。
自由英作文の過去問はここをチェック!
- 語数
※50~100語、100~120語、120~150語、150語以上で分類するとよい。 - 質問形式
※賛否型(賛成か反対か)、意見型(あなたはどう思うか)、描写型(絵やグラフなどを見て何が描かれているか説明する)で分類するとよい。 - テーマの傾向
※時事的な内容がよく出題されるか、仮定や空想上の設定(もし1億円あったら、など)がなされやすいか、志望学部に関連する事柄が盛り込まれることがあるか、などをチェックするとよい。
いくら古本でも、赤本や青本を大量に買い集めたりするのはさすがにお金がかかりすぎるので、先ほど紹介した東進ハイスクールの過去問データベースを利用しましょう。
もちろん友達の持っている問題を借りたり、学校や塾にあるものが利用できればそれに越したことはありません。
問題だけ集めるのではなく、必ず解答例も一緒に集めてください。コピーを取るなり、スマホで撮影するなり(売り物は絶対ダメです。窃盗罪になります。)してせっせと集めましょう。
解答例をていねいに読む
集めながらどんどん解答例を読んでいきましょう。
しっかりした出版物の解答例であれば良いお手本になるはずです。
解答例を読めば読むほど、どのように書き出し、どのように例を出し、どのように終えるかといった基本的な型が見えてきます。
もちろん英文読解の良い練習にもなります。
そして、その中から出題されそうなものを選んでいきましょう。これは野性のカンでもいいですし、学校や塾の先生に予想してもらってもいいかもしれません。とにかく大事なことは、志望校で過去に出題されていないことだけです。
そして、選んだものは暗唱できるくらいになってください。音読したり書き写したりしてできるだけ正確に覚えてください。
その問題が本番で出た時に解答例がスラスラ出てくることが目標なのですから。
先ほど書いた通り、覚えたものがもし出れば大問1つ満点+大幅な時間の節約という絶大な効果につながります。
1週間に1題ペースで、10週間で10題です。もちろん覚えた数が多ければ多いほど本番で出る確率が上がりますから、増やせればどんどん増やしていってください。
期待される最終的な学力
先にデメリットのほうから書こうと思いましたが、解答例として書かれた英文を読み込む、という学習スタイルですので、英語学習において悪影響になることは特にありません。
しいて言えば、効果が表れるまで時間がかかることですが、これはデメリットというよりも特性です(『継続は力なり』をデメリットと捉えるのは無理があります)。
始めるのが早ければその分蓄積が増えますが、遅いと効果を発揮する前に受験本番になってしまうので、できれば受験の3ヶ月前には始めていきたいところです。
メリットは、細かく挙げたらきりがないくらいです。
とにかく解答例を集めて読み、気に入ったらできるだけ正確に覚える。これを繰り返すわけですが、一度ペースがつかめれば特に困難はありません。
そもそも英語学習で英語を読まないわけにはいきませんから、一番真っ当な勉強法です。
これまで見てきた生徒たちの実際の効果ですが、少なくとも2ヵ月以上続けた生徒には自由英作文への苦手意識は見られなくなります(むしろ、新しいテーマがもらえると嬉しく感じる)。
特に、解答例をただ読むのではなく暗唱できるくらいまで読むというところが一番大切だと異口同音に言います。
実際にやってみると、書くための知識が足りないというより、書くために必要な読み方と読む量のどちらも足りなかったと実感する人がほとんどです。
また、たとえ本番に予想したテーマが出題されなかったとしても、豊富な解答例を読み込んできた人はその分知識も増えており、さまざまな設問パターンに対応できる力がついていますので、予想を外すことを心配する必要はまったくありません。
以下に生徒の感想を掲載していますが、少々長くなるので読みたい人だけクリックしてください。
よくある質問
良いことだらけなので逆に不安になる、という人もいるかもしれません。私がこれまで受けてきた主な質問を取りあげ、疑問を解消したいと思います。
Q.参考書に載っている解答例を丸写ししたらカンニング扱いされないか。
A.されません。そうなった人を見たことがありません。
もちろん、実際に試験場でカンニングペーパーか何かを持ち込んで、それを見ながら書いているところを見つかるというような状況でもない限り。
こういう心配を本気でする人は、いったいどのくらいの確率で予想が当たると思っているのでしょうか。
良い機会なのでここでタネ明かしをします。
【目的】
解答例をできるだけたくさん覚えて、覚えたものが本番に出る確率をひたすら高める
【過程】
どんなテーマが存在し、どんな論理展開が存在し、どんな書き方が存在するのか、という自由英作文の重要知識がいつの間にか頭に刷り込まれている
うすうす気づいていると思いますが、この記事で本当に奨励しているのは多くの解答例に触れることによる英作文力の基礎からの向上です。
覚えておいたテーマが本当に出ればラッキーですが、その確率は当然ながらかなり低いのです。
上の枠内に書いた通り、『覚える』という目的を持つことで必ず通る『過程』があるのですが、どちらが大切かは言うまでもないことですよね。
解答例を読み込み、暗唱できるほど覚えた過程は生きています。試験本番の時点では、すでにあなたの中に自力で文を書くための基礎がある程度は備わっているはずなのです。
どう書けばいいかなんてことに悩んでいても時間の無駄です。
悩む暇がないほど多くの解答例を読み込んでいると、いつの間にか英作文力の基礎が身に付いているという勉強法なんですね、実は。
以上、タネ明かしでした。
Q.自分で書いて添削を受けないとうまくならないのでは?
A.受けるのは自由ですが、受けなくても力はつきます。
大学入試レベルの対策においては、添削を受ける以前の勉強が身に付いているかが大事です。
そもそも自由英作文というのは、次の2点をクリアしていれば大きな減点はありません。
・単語や文法の運用力が一定以上あること
・内容に矛盾がないこと
前者についてはセンター試験レベルの単語力と中学生レベルの文法力が身に付いていれば問題ありません。
もちろん逆に言えば、単語力や文法力に不安がある人はそちらの勉強を優先すべきです。特に文法は重要です。
後者についてはどちらかと言えば国語力です。読み手に対してきちんと通じる話が書けているかどうかは、まず第一に書いている本人が正しく判断できなければどうしようもありません。
こう言ったら相手はここに疑問を持つだろう。だから次はそれに対する答えを書いて、それを根拠にしてもっと主張を明確にしていこう・・・。
このような判断力は英語に限らず何語だろうと必要なことです。決して英作文でしか勉強できないことではありません。
最近では、センター試験の第3問A(段落中の不要な文を指摘する問題)でも同じ力が試されていますので、論理力が弱いと思っている人はこの問題にしっかり取り組むと良いでしょう。
まとめると、自由英作文で求められているのは基礎的な英語の知識と国語力です。
これらは自由英作文対策をしないと身に付かないものでは決してありませんし、添削を受けないと向上しないというものでもありません。
ただし、絶対に添削を受けるな、などと言うつもりはありません。
右も左も分からない状態なら、とりあえず書いてみて自分の実力を教えてもらうのは良いことです。そこで得たアドバイスをきちんと受け止めて、足りないことをきちんと勉強しましょう。
また、本番前に仕上げとして、きちんと実力がついているかどうかを確認するために添削を受けるのも良いでしょう(ただし、そこで実力がないことが判明した場合はいわば死の宣告のように思えるかもしれませんが・・・)。
私自身も今まで何千枚かわからないくらい添削をしてきましたが、はっきり言って添削を受けた回数と実力は比例しません。
大減点を食らう人の大半が、中学生レベルの文法がまともに使えていないことに原因があります。要するに英語になっていないのです。
そういう人には英作文以前の問題だと口を酸っぱくして言うしかありませんが、毎年数人は何回添削しても常に同じ箇所を指摘されていて進歩がないように思える人がいます。
こうなると互いに時間の無駄です。
添削って思っている以上にしんどいんですよ。
その生徒のためになるようにと思えば思うほど、1語1語辞書を引きますし(複数冊引くのも珍しくない)、文法的な誤りはその都度説明を書き添えるなど(授業で説明したのになあと思いながら)、際限なく時間を取られます。
なので、添削を受ける場合はどこを見てもらいたいのか明確にすることと、もらったアドバイスはきちんと消化して、絶対に同じ注文を書かれないようにすることだけは忘れないようにしてください。
以上の注意が守れる人なら、添削を受けてもいいでしょう。
Q.学校などで書き方をちゃんと教わってなくてもこの方法を始めていいか?
A.基本的には解答例を読むだけなのでいつでも始められます。解答例を読む読解力は必要ですが。
ただ、自由英作文にはある程度決まった型があります。
きちんとした土台を持ちたいという人は、下に挙げたような参考書を(これ以外にもいろいろありますが)一冊でいいので最後まで読み通せば、基本的な知識はすぐに身に付きます。
また、簡単な和文英訳(日本語を英語に訳す)の練習も効果的です。これも次の参考書など、気に入ったものを1冊を仕上げれば見違えるほど力になります。
終わりに
時間がもったいないのでこの辺で説明は終わりましょう。大事なのは方法論よりも実践です。
いますぐやるべきことはもうわかりましたよね?
・過去問を集めて解答例を片っ端から読む
・出そうなものを選んで覚える
これだけです。
最後になりますが、一言付け加えます。
自由英作文はまだまだ出題校は少なく、避けようと思えば避けられる単元です。
だからこそ、競争率は下がります。自由英作文が得意な人は多くはないのです。
これはチャンスです。
自由英作文の学習法が世の中に定着して、100語くらいの英作文なら誰でも書けてしまうようになったら、あなたのアドバンテージはなくなってしまいます。
でも、今はまだ英作文ができるというのはとても大きなアドバンテージです。絶対に生かさなければ損です。
あなたの第一志望合格をお祈りしています。
続編を書きました
この記事に対するご質問の中で多くいただいたものにお答えしています。この記事とあわせてぜひご一読ください。
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