この記事は自由英作文対策(英検ライティング対策)を始めるなら今すぐすべきことはこの3つ!【保存版】の続編にあたります。
まだお読みでない方はまず上のリンクの記事を先にお読みください。
解答例を使った学習法への質問にお答えします
冒頭で紹介した記事で書いた通り、自由英作文は解答例を覚えることが最善の対策だとお伝えしました。
そして、この記事はたくさんの人に読まれているようで、ちょくちょくお問い合わせを通して、ご意見ご感想をいただいています。
質問には個別で返信をしているのですが、類似の質問が多く来ていたので、この記事で改めてお答えしたいと思います。
※実際のところ、この方法は私が教えている塾では当たり前のことなのですが、意外と世間には浸透していないようなので企業秘密にしておきたかったのです。しかし、昨今の大学入試改革(改悪)に振り回される受験生を一人でも多く救済したいと思い、ここに公開することにしました。ぜひ勉強の参考にしていただけたらと思います。
必要な語数の解答例がない
まず、『解答例を覚えようと思うが、自分の志望校の要求する語数に合う解答例が見つからない』というご相談を数件頂いていますので、お答えします。
解答例をベースにアレンジしよう
書きたいのは80語以下なのに、いざ書きたいと思ったテーマの解答例は100語以上のものしかない(あるいはその逆)といったパターンは確かによくあります。
そういう場合は、解答例を元にして、自分なりのアレンジを加えて語数を調整しましょう。
最も簡単なのは語数減らすことで、たとえば、理由が3つ書いてあるのを2つにする、といった具合です。また、【英検2級】ライティングの正しい書き方まとめ【保存版】でお伝えしている、語数調整のための表現が入っているかどうかを確かめ、それらを可能な限り削るというのも一つの手です。
逆に語数を増やすのは難易度が上がります。First を The first reason is that にするような、中身のない語数増加(水増し)では実力向上につながらないので、可能な限り中身のある事柄を付け加えるようにすべきです。
そして、そのようにしてできた解答例は添削を受けてください。
自由英作文対策(英検ライティング対策)を始めるなら今すぐすべきことはこの3つ!【保存版】の記事を読んで、「添削は受けないほうがいい」と受け止めている人も多いようですが、きちんとした目的を持って受けることは大事なことです。
また、上の記事で「講師の負担が大きい」とも書きました。これは事実ですが、ここに書いた方法は解答例を元にしたアレンジであり、添削すべき箇所が明確なため負担はかなり少なくなります。
もし、上の記事を読んで、まるで「添削は受けるな!」と強く批判されているように受け止めてしまった人にはこの場を借りて謝ります。ごめんなさい。
この方法を取って練習しようとしている人は、バンバン添削を受けてグングン上達してください。
片方の意見しか解答例がない
次に多くいただく質問がこれです。
賛成か反対かというテーマで、どちらか一方しか解答例がないということですね。
また、「ちょっとこの解答例の意見には納得いかない」とか、「逆の意見のほうが簡単に書けそう」と感じる場合もありますよね。
それならば、自力で書いてしまいましょう。
といっても、全部を自分の力で書き上げる必要はありません。解答例に出てきた表現を利用しましょう。
わかりやすいところで言うと譲歩と呼ばれる部分です。これは筆者の意見と食い違う主張が書かれている部分ですよね。
たとえば、『子供にスマホをもたせるべきか』というテーマの反対意見を書く際に、次のように書いてあるとします。
※わかりやすいよう日本語にしています。
「たしかにスマホは便利だ。親はいつでも子供と連絡がとれるし、GPS機能があれば子供がどこにいるのかもわかる。だが、ゲームをしたり、SNSで知らない人と連絡を取り合ったりすることに使う可能性があるので持たせるべきではない」
上の文の「たしかに~わかる」までが譲歩にあたります。この部分はそのまま賛成側の主張に使うことができます。
「私は子供にスマホを持たせるべきだと思う。スマホがあれば親はいつでも子供と連絡がとれるし、GPS機能があれば子供がどこにいるのかもわかる。」
下線部が同一の箇所です。
こんな感じで、同じ文を使っても賛成意見も反対意見も書けてしまうわけです。
※もし解答例に譲歩の部分がなくても、理由に挙げている部分を譲歩として採用することもできます。
これなら自分で一から回答を作るよりも負担が少なく済みますし、添削をしてもらう講師の負担も減ります。どこが自分で書いた箇所なのかを伝えてあげてください。
オリジナリティが育たない?
「解答例を先に見てしまったら、自分のオリジナリティ(独創性)が育たないじゃないか」という意見をもらったこともあります。
私はこの意見に真っ向から反対します。
なぜかと言うと、「オリジナリティが・・・」と言う人は勘違いをしているからです。
自由英作文および英検ライティングはオリジナリティではなく英語力を測る試験です。誰もが思いつく平凡な考えであっても、正しい英語で適切な表現方法に沿って書かれていれば得点になりますし、誰も思いつかないような独創性を発揮しても、それに加算されることもありません。
これは、たとえばTOEFLのスピーキングテストや英検1級の2次試験(面接)といった英語系資格試験の最難関レベルでも同じです。
どちらも、その場で与えられたテーマに対し、持ち時間を使って自分の意見をまとめ、その場で英語で答えるという形式です。
最も有効な対策は、言うまでもなく多くの解答例に触れていることです(より抽象的に言えば教養があること、さまざまな物事に通じていることで有利になります)。
どちらの対策をするにしても、過去問や予想問題の他、時事問題集や賛成・反対事例集といった対策問題を通じて、とにかく幅広いテーマに対応できる力をつける必要がありますし、その過程である程度解答例の暗記力や自分なりの具体例・たとえ話を加えたアレンジ解答を作るなどします。
※もうおわかりの通り、私が自由英作文対策として書いた記事の内容とまったく同じことをすることになるのです。
繰り返しますが、「オリジナリティが・・・」と言う人は勘違いをしています。本当のオリジナリティ(独創性)というものは、教養という下地から生まれるものです。
英語というものは、母語でない人間にとってはどこまで行っても教養の枠を外れることはありません。オリジナルの英語を生み出したとしても、それは自分以外には通じない暗号に過ぎず、単なる自己満足でしかありません。
言い換えれば、オリジナリティを追求するのは母語、つまり日本人なら日本語で行うべきなのです。あるいは、言葉以外の才能(音楽、絵画など)の側面を磨くべきです。
以上が私が反対する理由です。
解答例を覚えた先にあるものは・・・?
最後に、主に高校2年生など、解答例を覚える作業を比較的早めに開始してくれた人向けの話になりますが、できればみなさんお付き合いください。
長い目で見れば、大学入試で英語学習は終わりではなく、英検1級など、目指すべき目標は上を見ればまだまだあるのですから。
自由英作文へのモチベーション
「解答例を覚えているだけの勉強法では自分の実力がなかなか見えてこないので長続きしないのではないか」
「自分の大学の過去問を書いて、添削を受けて良い評価をもらえたらモチベーションにもつながるのではないか」
こうした意見を否定はしません。
添削を受けられる環境にあるのにそれを利用しないのはもったいない、というのは私も同感です。
でも、添削者からしきりに書け書け言われると、それだけでモチベーションが下がりませんか?
つまり、自由英作文を書くのが義務になったら、ちょっと重たくないですか?ということです。
日記が続かない人、多いですよね。もちろんそれが母語であっても。
よほど強く書きたいという気持ちがないと、自分で一から文章を書くって難しいですよね。
ここだけの話ですが、私自身、この記事を書くまでにだいぶ時間がかかりました。書こう書こうと思っていても、頭の中でなかなかうまい具合にまとまらないし、書いているときに浮かんだ疑問をいちいち解消しないといけない手間を考えて、なかなか手がつけられずにいました。でも、最近少し時間に余裕ができたことや、今見ている生徒たち、そしてこの頃の目に余る政府の不手際など、いろいろな要素がモチベーションになってようやく重い腰が上がった感じです。
ちょっと余談が長くなりました。話を戻します。
自由英作文を自力で書くには、人によってはだいぶ重い腰を持ち上げてあげないといけないのです。
最も腰が軽くなるのは、試験が目前に迫るという「追い詰められたとき」でしょう。
でも、これじゃ間に合いませんよね。
実際に大学入試で失敗して、大学に入ってから本格的に勉強を始めるという人も一定数いますし、私もどちらかというとそういう人間なので、失敗するのもアリだと個人的には思っていますが、さすがに堂々と「失敗しなさい、それも勉強だよ」と受験生に言うのは気が引けます。
では、どうすれば早いうちにモチベーションを上げられるかというと、解答例を見ることになってしまうんですね。
解答例をたくさん見ていけば、いつかどこかで「私ならこうは言わないかな」「私ならこう思うけどな」と感じるタイミングがあるはずです。
そう、その時が書くチャンスです。
モチベーションが高まり、腰が浮きかけています。
そこで思いついた事柄を、頑張って英語にしてみましょう。
採点してくれる人がいればぜひ提出してください。もちろん、全文書き上げる必要なんてないんです。上にも書いた通り、解答例をベースにして、思いついたところだけ書き換えればいいんです。
英語でどういうかわからなければすぐ調べましょう。辞書でもインターネットでも、先生に質問でも、なんでもいいです。
たぶん、そこで得た知識は簡単には忘れないでしょう。あなたの英語力が高まった瞬間です。
まとめ
解答例を読むことだけなら、そこまで気合を入れなくてもできると思います。
そういうできるだけ低いハードルから始めて、いつの間にか目標としていたハードルを越えられるようになっているという形は、あらゆる勉強法の理想の形だと私は思っています。
それは、幼い子供が親の使う言葉やテレビの言葉を真似し、いつの間にか喋れるようになるのと変わりありません。
幼い子供が「ペラペラ喋りたい」というモチベーションを常に維持しているかどうかはよくわかりませんが、私自身の子供の成長を見ている限り、「親の真似をしたい」「上のきょうだいと同じことができるようになりたい」という気持ちは常に持っているように思いました。
同じように、自由英作文の対策を始めようと考えている人は、「どんなテーマにも答えられるようになりたい」という気持ちはあるでしょうが、どちらかというと「上手く書けた英語を人に見てもらいたい」という気持ちの方が強いのではないかと思います。
解答例を読む学習を続けていると、「これくらいなら書けそうだ」という答案が出てくるはずです。まずはそれを覚えましょう。
そうすると、そこに出てきた表現を使ってみたいという気持ちが出てくるはずです。そうしたら、それを使って書けそうなテーマを見つけて、その解答例を少しアレンジしてみましょう。
すると、それを添削してもらいたいと思うでしょう。身近に添削をしてくれる人がいれば、すぐに添削してもらってください。たとえほとんど書き写しただけであっても、自分でアレンジした答案には愛着が湧くはずです。
しばらくはこの繰り返しでかまいません。いずれ、どこかのタイミングで、まるで子供が発語をするかのように、自分で一つの解答例を書きたくなる時が来ます(必ず来ます)。
そうなれば自由英作文対策は本当の意味で成功したと言えます。少なくとも、モチベーションが下がる心配はいりません。手当たり次第に解答を書くこともできるでしょう。
おすすめの添削サービス
完全独学の人など、周囲に添削を受けてくれる人がいなくても、下のようなインターネットサービスを利用する手があります。
基本的に初回サービスは無料となっていますから、試しに一つ添削してもらうのもいいのではないでしょうか。
NHK「おはよう日本」で紹介された話題のオンライン英語添削[アイディー]
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