報道によると、千葉県教育委員会が県内3つの小学校で塾講師による授業を試験的に導入し、その効果を検証するという。その結果を踏まえ、2024年度からの本格導入の検討が行われるようだ。
動画内では授業を受けた児童の感想として「担任とは違って塾の先生は追加した難しいことを言ってくれて、自分のためになるし、良かった」「塾の先生は小ネタをはさむのが上手。(担任と)大きく違う」「算数はすごく楽しくなって好きになった」といったものが取り上げられている。
引用:小学校の算数 塾講師活用で学力向上 検証/千葉県 https://news.yahoo.co.jp/articles/37e7af0b0011629ae478be88684220b017740120
このようなニュースを見たのですが、このニュースを見た現役塾講師としての私の感想は「そういうことを言わせるな。」です。
小学生の素直な感想にケチをつける気はありません。言わせている大人に言いたいのです。
私は英語科なので、塾に来る生徒たちから学校の英語の先生の話をときどき聞くのですが、総じて芳しいものではありません。中には「その教え方じゃあ混乱するのも無理ないな」と思うようなことも聞きます。
私自身は大学受験に特化した英語についての知識を日々深めていくことだけに集中することが可能な環境にあるがために、授業という形において誰にも負けない自信を持っているわけですが、学校の先生方は朝から晩まで研修、部活動、その他さまざまな雑務に追われながら毎日毎日生徒たちと向き合わなければならない状況にあることを知っています。そしてまた、先生方は授業準備をしっかりしたい、生徒を感動させられるような授業がしたいという気持ちをずっと抱えつつ、食事や睡眠の時間をも削って業務をされていることも知っています。
だからこそ、そんな先生方が上手く授業ができていないことや、準備不足で教え方に不備があることなどをあげつらってせせら笑うようなことは絶対にしないし、生徒には先生方への尊敬の念は忘れないように言っています。塾の休み時間中に学校の先生のことを呼び捨てにして馬鹿にしている声が聞こえた場合は必ず注意するようにしています。
このブログでも常々言ってきているように、先生方の本来の業務である「授業」に集中させてあげられるようにしてほしいのです。それが私の要望であり、先生方の要望でもあるはずなのです。そして、この要望に誰よりも熱心に耳を傾けなければいけないのは教育委員会のはずです。
その教育委員会がやることがこれ?
子どもに「学校の先生よりわかりやすかった」「楽しかった」と言わせて本当にいいのか?この子たちを普段教えている学校の先生の立場は?
教員に授業以外の業務をさんざんやらせて、睡眠時間を削らないと授業準備の時間を確保できないようにしているのは誰なのか?
このニュース、ただただ胸糞悪いです。
―追記
予想される疑問に対する答え
●塾講師のような上手い人の授業を見て学校の先生も勉強した方が良いのでは?
→ その勉強する時間はどこから来るのですか?すでに睡眠時間を削って授業準備に充てていると書いていますのでよく読んで状況を理解してください。
●ベテランの先生で授業が下手な場合は本人が怠けてきた結果じゃないの?
→ 教育委員会は人事権がありますから、そういう教員に対して研修を受けさせるなどの措置を取り、授業を改善させることができます。そういう教員が長年放置されているのは単純に教育委員会の職務怠慢です。
●授業は全部上手い人の動画にして、教師は質問対応や採点とかの雑務だけをやればいいのでは?
→ これは一理あるとは思いますが、国家的規模の大改革になることが予想されます。今現在教育産業に携わっている方々と行政とでこれから作り上げられていく事業なのかもしれません。関心のある方々はぜひ主体的に関わっていってもらいたいと思います。
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