問題と解答はこちら↓
第6問A
正解・配点
問1:2(3点)
問2:3(3点)
問3:3(3点)
問4:4(3点)
和訳・解説
本文
あなたはアメリカの交換留学生で、演劇部に入りました。あなたは今、アメリカのオンライン・アート・マガジンの記事を読み、部をより良くするのに役立つアイディアを得ようとしています。
ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーの最近の変化
文:John Smith
2020年2月20日
我々はみな違う。世界は多種多様な人々で構成されているということにほとんどの人々は気付いているにもかかわらず、多様性、つまり我々の差異を顕在化させ受容することは、芸術団体においては反映されていないことが多い。このため、様々な背景を持つ人々や障害を持つ人々をよりよく表す映画や演劇の需要が増えてきている。イングランド芸術評議会は、こうした需要に応えるため、公的資金によって運営されている芸術団体にこの分野の改善を行うことを奨励した。これに積極的に応じた劇団が、世界で最も影響力を持つ劇団の一つ、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)である。
英国のストラトフォード=アポン=エイヴォンを拠点とするRSCは、ウィリアム・シェイクスピアを始めとする様々な有名作家の演劇を制作している。近年のRSCは多様性に焦点を当て、英国社会の全てを正確に反映させることに努めている。RSCは、民族的・社会的背景、ジェンダー、演者とスタッフの身体能力のバランスをとりながら採用者を決めることに奮闘している。
2019年の夏季シーズンにおいて、RSCは「お気に召すまま」「じゃじゃ馬ならし」「尺には尺を」というシェイクスピアの喜劇3本を上演した。俳優は英国全土から採用され、27名のキャストを構成した。それは今日の英国における人々の多様な民族的、地理的、文化的性質を反映していた。シーズン全体でジェンダーのバランスをとるため、すべての配役のうち半分は男性の俳優に、もう半分は女性の俳優に割り当てられた。キャストの中には障害のある(今では「異なる能力を持つ」俳優と呼ばれる)俳優も3名含まれた。それぞれ、視覚障害、聴覚障害、車椅子の俳優であった。
変化は採用方針だけにとどまらなかった。RSCは劇の一部を書き換え、視聴者に男女の力関係について改めて考えさせるようにしたのである。たとえば、女性と男性の配役を逆転させた。「じゃじゃ馬ならし」では、本来は「娘」の役を「息子」に置き換え、男性の俳優に演じさせた。さらにこの劇では、男性の使用人が女性に書き換えられた。その役は、車椅子に乗った女性俳優である Amy Trigg によって演じられた。Trigg は、自分がその役を演じることにわくわくしたこと、そしてRSCが起こした変化は他の劇団組織に大きなインパクトを与えることになると信じているということを述べた。
2019年の夏季シーズンに多様性を反映させるというRSCの決定は、何ものをも排除しない包括的な劇団でありたいと願う芸術団体にとって新たな模範として見なされうるだろう。クラシックな演劇において多様性を受け入れがたいと感じる人々もいれば、その一方で諸手を挙げてこれを歓迎する人々もいる。課題は残されてはいるが、RSCは進歩の顔としての名声を得たのである。
【解説】
第1日程の第6問Aは本文の後に内容をまとめたポスターを作るという形式だったが、今回は本文のみとなっている。センター試験第6問と同様に論説文であり、語彙力に不安のある人はやや読みにくさを感じたかもしれないが、ジェンダーや多様性といった言葉はもはや入試英文の定番と言ってもよいくらい頻出しているので、こういったテーマには慣れておきたいところ。第5問と同じく実話を基にした文章なので、興味があればシェイクスピアの作品やRSCなどを検索してみると理解が深まるだろう。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
設問・選択肢
問1 記事によると、RSCは2019年の夏季シーズンに[39]。
- 有名俳優に仕事の機会を与えた
- 異なる能力を持った俳優を3人雇用した
- 27人の登場人物がいる劇を探した
- シェイクスピアとそれ以外の作家の劇を上演した
【解説】
本文3段落目に「キャストの中には障害のある(今では「異なる能力を持つ」俳優と呼ばれる)俳優も3名含まれた」とあるので 2 が正しい。1問目なのに1段落目になくて焦った人もいただろう。これから受験を控えている人は、レベルはかなり高いが、本文を全部読んでから設問に答えていくスタイルを身に付けてもらいたい。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
問2 この記事の筆者が Amy Trigg に言及した理由として最も可能性が高いのは、彼女が[40]からである。
- RSCが提供した劇の一つで見事に役を演じた
- RSCの一員に選抜されるために奮闘した
- 包括的であろうとするRSCの努力の好例だった
- RSCのメンバーにとってのロールモデルだった
【解説】
本文1段落目に「様々な背景を持つ人々や障害を持つ人々をよりよく表す映画や演劇の需要が増えてきている」とあり、RSCはこの需要に応えようとした最初の劇団である。また、車椅子の女優 Amy Trigg に、もともと男性の配役だった使用人の役を演じさせたことを考慮すると 3 が正しい。ちなみに 4 の role model(ロールモデル)とは「手本にすべき立派な人物」といった意味である。センター試験にも出題歴があるので、覚えておいてほしい。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
問3 あなたは他の部員のためにこの記事を要約している。次の選択肢のうち、要約を完成させるのに最も適切なものはどれか。
[要約]
英国のロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)は英国社会の人口を作品に反映させようと努力している。これを成し遂げるため、RSCは多様な背景と能力をもつ人々を、男女のバランスをとりながら役者やスタッフとして採用することを始めた。さらに演劇にも変化を加えた。その結果、RSCは[41]。
- 世界中から多くの才能豊かな俳優を惹きつけた
- 一切の異議なく2019年シーズンを完了した
- 行動をもって社会の期待に応えることに貢献した
- 保守的な劇団としての名声を得た
【解説】
少し長いが、本文第1段落の重要部分を抜き出す。
「様々な背景を持つ人々や障害を持つ人々をよりよく表す映画や演劇の需要が増えてきている。イングランド芸術評議会は、こうした需要に応えるため、公的資金によって運営されている芸術団体にこの分野の改善を行うことを奨励した。これに積極的に応じた劇団が、世界で最も影響力を持つ劇団の一つ、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニー(RSC)である」
これに加えて、本文最終文では「課題は残されてはいるが、RSCは進歩の顔としての名声を得た」とある。
以上から 3 が正しいとわかる。
2 については、本文最終段落に「クラシックな演劇において多様性を受け入れがたいと感じる人々もいる」とあるので誤り。
4 は conservative(保守的な)という単語の知識が問われている。保守的とはすなわち変化をするよりも従来の在り方を好むことなので誤りである。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
問4 あなたの演劇部はRSCの考えに賛成している。これらの考えに基づくと、あなたの演劇部は[42]かもしれない。
- 新しい国際的作家によって書かれた劇を演じる
- 原作通りのクラシック劇を上演する
- 地元の人々に車椅子を購入するために寄付を募る
- 演劇からジェンダーの固定観念を取り去る
【解説】
本文によると、RSCは「ジェンダーのバランスをとるため、すべての配役のうち半分は男性の俳優に、もう半分は女性の俳優に割り当てた」とのことなので、これに合致するのは 4 である。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
第6問B
正解・配点
問1:4(3点)
問2:3(3点)
問3:4(3点)
問4:3,5(3点)※順不同、完全解答
和訳・解説
本文
あなたは市民会館で健康フェアのプレゼンテーションポスターを制作する生徒のグループの一人です。あなたのグループのタイトルは「地域の口腔衛生改善を推進しよう」です。あなたはポスターを作るために次の文章を使っているところです。
口腔衛生:鏡を覗くこと
ここ数年、世界中の政府が口腔衛生についての意識を高めるために奮闘している。1日に複数回歯を磨くことは良い習慣だと聞いたことのある人は多いだろうが、それが極めて重要である全ての理由を考えたことはない人が大半であろう。簡単に言えば、歯は大切だ。言葉を正しく発するためには歯が必要である。事実、口内の衛生環境が悪いと、上手く話すことができなくなる。さらに基本的な必要性としては、食べ物を噛むことができるということである。噛むことによって食べ物を粉砕し、体が消化しやすくすることができる。適切な咀嚼は食べ物を楽しむことにもつながる。平均的な人々は、歯科治療後に片方の歯でしか噛めないことで不満が募った経験があるだろう。歯が弱っている人は常にこの感覚を経験しているかもしれない。言い換えれば、口腔衛生は人々のクオリティ・オブ・ライフ(生活の質)に大きな影響を与えるということだ。
歯の基本的な機能は明らかだが、多くの人々は、口が体を映す鏡だということに気付いていない。口内の健康状態が良好であることは、体全体が健康であることのサインだということが研究によって示されている。口内の健康状態が悪い人のほうが、体に深刻な病気が生じる可能性が高いのである。推奨される日々の口腔衛生保持作業を無視することは、すでに病気に苦しむ人々に悪影響を及ぼしうる。反対に、良好な口腔衛生を実践することで、病気の予防までもできるかもしれないということである。強く健康な体は、しばしばよく手入れされた清潔な口を反映するとされている。
良好な口腔衛生を維持することは生涯にわたる使命である。フィンランド政府とアメリカ政府は、子どもが1歳になる前に歯科医に連れていくことを保護者に推奨している。フィンランドは実際に保護者に宛てて通知を送っている。ニュージーランドは全国民に18歳になるまで無料の歯科治療を提供している。日本政府は8020運動を推進している。人は年を取るにつれ、さまざまな理由で歯を失う可能性がある。この運動の目標は、80歳の誕生日を迎えるまで20本の歯を維持していることである。
日本をより詳しく見てみると、厚生労働省は長年にわたり、高齢者の歯の残存数に関する調査データを分析し続けている。ある研究者は、最高齢者をA(70-74)B(75-79)C(80-84)D(85+)という4グループに分けた。各調査では、1993年を除き、最低20本の歯を持つ人のパーセンテージは高い順にA-B-C-Dの順であった。しかし、1993年から1999年の間Aグループが約6ポイントしか向上しなかったのに対し、Bの増加がわずかにそれを上回った。1993年の時点でAグループの25.5%が最低20本の歯を持っていたが、2016年までにDグループのパーセンテージがAグループの最初の数値よりも実に0.2ポイント上回ったのである。Bグループは最初のうちは堅調に増加していたが、2005年から2011年の間に劇的に向上した。意識の改善により、期間中すべてのグループが著しい向上を遂げたのである。
歯科医は長年食後の歯磨きを推奨してきた。積極的に優秀な口腔衛生を求める人々は一日に数回歯を磨くだろう。ほとんどの人は就寝前と翌日の朝に歯を磨く。歯科医はまた、毎日フロスをすることも大事だと考えている。フロスとは、特別な種類の糸を使って歯と歯の間の物質を取り除くことである。これ以外の予防法として、歯科医にプラスチックジェル(シーラント)を歯に詰めてもらうこともできる。これによって、歯の表面を強固にし、損傷を防ぐことができる。1度塗るだけで、よくある歯の問題のなんと80%を予防してくれる。
一年に一度あるいはそれ以上歯科医に通うことこそがカギである。歯科治療は痛みを伴うことがあるため歯科医院へ行くことをあえて避ける人もいる。しかし、我々は歯科医のことを、一生を通じて文字通り笑顔にさせてくれる心強い味方として捉えるようにすることが大切だ。
あなたのプレゼンテーションポスター:
地域の口腔衛生改善を推進しよう | ||
1. 歯の重要性
フィンランド&アメリカ:1歳になる前の処置を推奨
図1. 最低20本歯がある人の割合 3. お役立ちアドバイス [46] |
【解説】
第1日程と同程度の長さの文ではあるが、こちらは後にポスターの穴埋め作業が用意されている。また、内容に合致するグラフを選択する問題はかつてのセンター試験第4問Aを彷彿とさせる。いずれも難易度は高くないものの、時間との勝負になっている人は焦ってもったいないミスをしないように注意したい。なお、私自身今歯の治療で通っているため、改めて歯の大切さを実感していることをここに書き留めておきたい。歯を大切に!
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
設問・選択肢
問1 あなたのグループは、ポスターの最初の見出しの下で、本文で説明されたように歯の重要性を示したいと考えている。ある提案について、全員がこの場所に相応しくないという意見で一致した。次のうち、ここに含めるべきでないものはどれか。[43]
- A
- B
- C
- D
- E
【解説】
Dに関する話は本文に登場しないため 4 が正しい。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
問2 あなたはポスターの2つ目の見出しを書くことを依頼されている。最も適切なのは次のうちどれか。[44]
- 若者を対象とする各国の8020運動
- より良い歯科治療についての各国の広告
- 口腔ケアを推奨する各国の努力
- 乳児を歯科医へ招待する各国の制度
【解説】
2つ目の見出しの下に書かれていることを総合的に述べているのは 3 である。
1 は「8020運動」は日本独自でありかつ「若者向け」ではないので誤り。2 は「広告」が誤り。4 はフィンランドとアメリカにしかあてはまらないので誤り。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
問3 あなたは日本の研究者の調査結果を掲載したいと考えている。次のグラフのうち、ポスターに最も相応しいものはどれか。[45]
※グラフ省略
【解説】
本文には次のように書かれている。
「1993年を除き、最低20本の歯を持つ人のパーセンテージは高い順にA-B-C-Dの順」
「1993~1999年の間Aは約6ポイント向上したのに対し、Bの増加がわずかにそれを上回った」
「1993年の時点でAグループの25.5%が最低20本の歯を持っていたが、2016年までにDグループのパーセンテージがAグループの最初の数値よりも0.2ポイント上回った」
「Bグループは最初のうちは堅調に増加していたが、2005年から2011年の間に劇的に向上した」
以上に合致するグラフは 4 である。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
問4 ポスターの最後の見出しの下で、あなたは本文に基づく詳細なアドバイスを書き加えたいと考えている。次のうち、使うべき2つの記述はどれか。(順序は問わない)[46]・[47]
- 朝食を食べる前に歯を磨こう。
- 毎日鏡で歯をチェックしよう。
- 1年に最低1度は歯医者さんに行こう。
- プラスチックジェルを頻繁に歯に塗ろう。
- 歯と歯の間に毎日デンタルフロスを使おう。
【解説】
1 は本文に記述がないので誤り。
2 も本文に記述がないので誤り。「鏡」に引っ掛からないように。
3 は本文の「一年に一度あるいはそれ以上歯科医に通うことがカギ」に合致する。
4 は自分ですることではなく歯医者での処置なので誤り。
5 は本文の「歯科医は毎日フロスをすることも大事だと考えている」に合致する。
以上より 3 と 5 が正しい。
【語句】
後日追記します
【文法】
後日追記します
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