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【日本人の英語】”No Drink, No Drive.”は飲酒運転「奨励」です。シャレにならない大間違い!!

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※数名の方にツイッターで紹介していただいたようで、急にこの記事へのアクセスが高まっていました。改めて記事を見返したところ気になる箇所がいくつかあったので加筆・修正を施しています(大きな変更箇所はありません)。紹介していただいた皆様、本当にありがとうございます。

以下より本文です。

このようなツイートが話題となっています。

ちょうど面白い英語ネタを探していたので、アレコレ書いていきます。

何事も”No pain, no gain.”

そもそも”No A, No B.“は「AもBもダメ」という意味ではない

No A, No B.“という形は「AがないならBもない(AがあるからこそBがある)」という意味を表す重要表現です。

※ちなみに、文法的にはA・Bとも名詞が来ますが、drink、driveはどちらも動詞だけでなく名詞の用法もあるため「正しい英語」なのです。

だから、”No Drink No Drive”では「飲酒運転禁止」の意味ではなく、「飲酒がないなら運転もない(飲酒があるからこそ運転がある)」となってしまい、上のツイートのような日本語訳がピッタリあてはまる表現になってしまうのです。

“No A, No B.”を使った表現いろいろ

No A, No B.“という形はしばしばことわざや標語などに使われています。

有名な英語のことわざに、”No pain, no gain.“「苦労なくして得るものなし」(苦労せずに利益を得ることはできない)というものがあります。

※”pain”には「痛み」のほかに「苦痛、苦労、骨折り」といった意味もあります。

また、”No music, no life.“「音楽なくして人生なし」といえば、音楽CDなどの販売大手タワーレコード(本社はアメリカ)のコーポレート・ボイス(企業スローガン)です。

このように、最後を”life”にして自分の大切なものを表すことができます。

・読書家なら、No book, no life.

・登山家なら、No mountain, no life.

・犬好きなら、No dog, no life.

などなど。簡単ですね。

またギャンブルなどでよく使われる言葉に”No guts, no glory.“「勇気なくして栄光なし」というものもあります。

「何か大きなことを成し遂げるには危険を冒す勇気が必要だ」ということを意味し、大きな賭けに出るときなどによく使われます。

※”gut”は「内臓」「腸」といった意味ですが、その複数形”guts”は「勇気」「根性」といった意味も持ちます。

この”No guts, no glory.”について、DMM英会話というサイトのDAILY NEWS(2017年7月14日)の記事に英語の勉強になる良い記事があるのでぜひ参照してみてください。

また、ちょっと難しい英語ですが、アメリカの歴史にその名を残すウィリアム・ペンという人は、次のような言葉も残しています。

No pain no palm,
No thorn no throne,
No gall no glory,
No cross no crown.

痛みなくして聖枝の勝利なく
荊なくして王座なく、
苦難なくして栄光なく、
十字架なくして王冠なし。

出典:ヴァイニング夫人(著), 高橋たね(訳)(1950)『ウィリアム・ペン 民主主義の先駆者』岩波新書

“No Drink No Drive”のソース(情報源)?

“No Drink No Drive”でGoogle検索すると、発言小町というサイトの中の2007年のトピック(外部リンク)にこの表現が登場していました。もしかしたらこのお店の従業員はこれを見て作ってしまったのかもしれません。

それにしても、私自身このような間違い英語を最近よく目にするのですが、そういうのを見るたび、日本もなんだかんだ言ってグローバル化してきたなあと感じます。

誰もが英語を必要とする可能性があって、英語が嫌いとか苦手とか言ってられない世の中になりつつある、ということですね。

特に接客業の人はいつ英語圏のお客さんを相手にするかわからないし、このツイートのように、英語を書くことを仕事の中で求められることもありうるわけです。

そういうときに、たとえ自力では正しい英語が思いつかなくても、しっかり勉強してきた人ならば、検索して出てきた英文を吟味し、疑問の余地があればその英文自体で検索して、実際に使われているかをチェックするところまでは必ずするはずです。

つまり、中学高校までの6年でペラペラになるのは無理にしても、適切な英文を適切に調べる方法くらいは会得しておくべきでしょうね、このグローバル化しつつある日本では。ということです。

「話す」のと「書く」のはどちらが簡単か

英語を勉強しているのに英会話ができないという嘆きをよく見聞きしますが、実は英語を話す力ではなく、話す話題がなかったり、相手の言っていることが聞き取れない場合が圧倒的に多いのです。

特に、英会話学校に行って、フリートークの時間が苦手な人は多いと思いますが、そういう人たちはそもそも英語ができないと言うよりも話すこと自体が無いのです。

ちゃんと話題が決まっていて、伝えたいことがはっきりしているときは、なんとかして伝わるように努力するし、言葉以上に身振り手振りで大抵のことは意外とどうにかなるんですよね。

旅行なんかでも、ガイドブックや地図を指さして、日本語で「ココイキタイ」でも通じますよ(通じると言うか、理解してくれる)。

中学生レベルの単語、それこそgo、get、book、schoolなどのレベルでも知っていれば、大抵のことは伝えられますし、カタカナ語も捨てたものではありません。「サンキュー」や「オーケー」「アイムソーリー」も立派な英語です。

相手に通じればコミュニケーションとしては最低限をクリアしているわけです。日本に来る外国人(主に欧米人や中国人)のほとんどの日本語力はこのレベルに遠く及びませんから、日本人はむしろ英会話にもっと自信をもっていいはずなのです。

というか、日本人が思い描く英会話というもののレベルをもっともっと下げるべきなのです。ペラペラ話さなくてもいい、お互いに言いたいことが通じればいい、ということですね。

英会話なんて簡単簡単。

でも、「書く」場合は厳しいですよ。かなり正確さが要求されます。なぜなら、人は書かれているもの(特に公のもの)は、基本的に正しく書かれているものという思い込みが働くからです。

でも、グローバル化によって、誰もがいきなり英語の使用を強制される可能性があるわけです。すると、とんでもない英語ができあがってしまう可能性がありうる。

英語が苦手な人が頑張って書いた結果、意味不明になるならまだマシで、上のツイートの画像のように意図するところと真逆のことを書いてしまうのはなんとしても避けたいところです。

もしもあなたの書いた英語のせいで何らかの損害が発生して、その責任を負わされることになったら・・・。

「お粗末」 日台友好観光パンフ、英語表記に間違いだらけで作り直しへ

そんなことにならないように、気を付けてしっかり勉強しましょう。

いや、本当に。

この”No Drink No Drive.”は、上に絵がついているから書いた人間が英語を間違えたのだとわかりますが、もし絵がなくて英語のみだったとしたら、飲酒運転を「奨励」する店として責任問題に発展しかねません。シャレになりませんよね。

日本の英語教育のあり方など

くどくど長くてつまらない話(興味のある人だけどうぞ)

私が『学校で勉強したのに英語が話せない』という学校英語批判を見聞するときにいつも頭に浮かぶのが、この発言者はどれくらい学校英語をきちんと身につけたのだろうか、という疑問です。

東大の英語で満点を取れとは言いませんが、センター試験で9割以上取れる人が言うならまだしも、それすらできない人が言うのはただ批判したいだけで、ちゃんと勉強しなかったから身についていない、つまり自分の責任で英語ができないだけなのに、それを責任転嫁しているのではないかと感じます。

学校で勉強したのに英語が話せない』という学校英語批判を展開する人が想像するのは、まるでネイティヴのように淀みなくペラペラと正しい発音で話すことだろうと思いますが、きちんと勉強をしてきた人ほど、それがどれほど時間と努力を必要とし、あるいは環境に恵まれたことであるかを理解しています。

英語圏の父母をもつハーフや英語圏で長く暮らした帰国子女などでない限り、普通の日本人が普通の生活を送りながら18歳かそこらで英語をペラペラ話せるようになるなどというのは単なる幻想であって、英語を話す努力をしたことのない人間の妄想です。

たとえ自らがそのような苦行を経験していなくても、以下のような本を読むだけでも、現状の「読み書き」重視の英語学習も十二分に役立っていることがわかります。

どちらも読みやすく書かれた本ですから、興味のある方はぜひお読みください。

もちろん、どちらの本でも、今の英語教育を100%褒めちぎっているわけではありません。より良くしていくための提言もあります。

改善の余地はあるにせよ、中学高校6年間の勉強の中で正しい「読み書き」については十分に勉強することができるのであって、ちゃんと勉強していれば、少なくとも記事冒頭のツイッターのような間違いは起こりえません。

現状の一般的な日本人が、ジェスチャー頼りの英語ではなく、しっかりとした英語を話すために必要なのは、まず学校で習う「読み書きのための英語」なのです。

これをきちんと身につけていれば、その後英語を使う必要に迫られたとき、あっという間に(といっても最低6か月~1年くらいの英語漬け期間が必要だが)上達するのです。

「話す」を上達させるのは実践あるのみですが、高度なレベルを目指す上で、必要最低限の語彙と文法の知識がなければいつまでもブロークンのままです。学校での英語を身につけた人と疎かにした人の差は、使い始めていけばいくほど明確に出ます。

中身の伴わない会話に意味などないことを、「学校で話せるようにしろ」などと言っている人たちはわかっているのでしょうか。

「思慮が浅く声が大きいだけの」人の声で耳が塞がれてしまっても、正しいことの書かれたものを見る目を失わないようにしていきたいものです。

おまけ1「飲酒運転禁止」は英語で何と言うか

実は、「飲酒運転禁止」の英語表現は高校英文法の「否定」の単元でよく例文として使われます。

英語では”Don’t drink and drive.”です。

Googleで”Don’t drink and drive.”を画像検索すると下のような結果が出ます。

don't drink and drive - google image search

注意してほしいのが、単純に「AとBをするな」と訳さないことです。

“Don’t drink and drive.”を例に取ると、「飲酒運転をするな」と「飲酒運転をするな」では意味が違うのがわかると思います。

「飲酒運転をするな」は「飲酒」と「運転」を連続(広い意味で同時と捉える)してすることを禁止します。逆に言うと、「お酒を飲むだけ」または「車を運転するだけ」というふうに、連続でなく別々にするのであればOKということですよね。

その一方で「飲酒運転をするな」は「飲酒」と「運転」をそれぞれ禁止するものであり、わかりやすく言うと「いついかなるときも、お酒を飲むのも、運転するのもダメ」ということですね。

Don’t A and B“は「AとBを同時にやるな」という意味ですので、同時の意味である「飲酒運転をするな」となります。

おまけ2「飲酒も運転もダメ」は英語で何と言うか

もし実際に「飲酒も運転も一切ダメ」と言いたいときは、次のように言いましょう。

Don’t drink or drive.

そう、”and”のかわりに”or”を使うだけです。

not A or B“は「AもBも~ない」という全否定を表します。

「酒もタバコもダメ」と言いたいときは”Don’t drink or smoke.“となります。

また、命令文では普通使いませんが、”neither A nor B”という堅い表現もあります。

I neither drink nor smoke.「私は酒もタバコもやりません。」

これは”I don’t drink or smoke.”とも言えます。

今日の独り言は以上です。

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