大学入試における英語成績提供システムに参加している実用英語技能検定(英検)について説明します。
諸注意
英検にはいろいろな種類の試験があります。
この記事では、従来の紙を用いた試験形式の「英検」について説明しています。
それ以外の、例えば英検CBTや英検IBAなどのような形式についてはここでは触れていません。
また、英検は英語成績提供システムに参加していますが、ここで説明する紙媒体の試験「英検」は同システムで活用することができませんので、くれぐれもご注意ください。
2019年9月9日追記
大学入試での英語成績提供システムで活用可能な試験「2019年度 英検2020 1day S-CBT」についてのまとめ記事を書きましたので、ぜひご覧ください。
まずは受験する級を決めよう
まずは英検の公式サイトへ行きましょう。
ここは受験申込や合否結果の閲覧などで何度も訪れることになりますので、必ずお気に入りに登録(ブックマーク)しておきましょう。
試験内容・過去問のページを開いて画面を下へスクロールすると、『プチ英検』という項目があります。
『プチ英検』には2種類の問題が用意されています。
それぞれ紹介していきます。
『気軽に試して、プチ英検』
まずはコチラからやりましょう。
3種類の難易度に分かれています。
問題の形式はどれも同じで、短い英文を読み、途中にある空欄に入る語句を4つの選択肢から1つだけ選ぶものです。
単語・熟語・文法に関する問題がバランス良く出題されます。
制限時間はありませんが、考え過ぎなければどれも3~5分くらいで終わるでしょう。
1st Stage (5~3級レベル)
5級、4級、3級レベルの問題を4問ずつ、計12題解きます。中学生レベルですが、英語が苦手な人はとりあえずここから始めるといいでしょう。
2nd Stage (3級~2級レベル)
3級、準2級、2級レベルの問題を4問ずつ、計12題解きます。2級は高校3年生レベルですので、大学受験を控えている人が実力チェックをするのにちょうど良いレベルです。
3rd Stage (2級~1級レベル)
2級、準1級、1級レベルの問題を4問ずつ、計12題解きます。2級から準1級、準1級から1級と、1級進むごとに格段に難しくなります。ほとんどの日本人はあっさりと返り討ちにあうと思いますが、一見の価値はあります。
『級別に試して、プチ英検』
次はコチラ。
級別にお試し問題を解くことができます。問題形式は『気軽に~』と同じです。
『気軽に~』で間違いが急に増えた級と、その1つ前の級あたりを試してみるといいでしょう。
各級10問ずつ問題が用意されています。
目安として、正答率が8割を超えれば合格する可能性が高いと思われますので、その近辺、低くても現状で6割くらい確実に取れる級を目標にするとほどよい難易度で勉強することができるのではないでしょうか。
過去問に挑戦する
最新の過去問をゲットしよう
受験する級が決まったら、さっそく過去問を見てみましょう。
英検の公式サイトでは、最新の過去問がなんと3回分もダウンロードできます。
問題冊子・解答・リスニング音声など
受験する級のリンクを選んでください。
※英検公式サイトへジャンプします。
解答用紙
英検のウェブサイトには、個人受験用(本会場用)と団体受験用(準会場用)の2種類が用意されています。受験予定の形式をダウンロードしましょう。
※英検公式サイトへジャンプします。
過去問は印刷して手書きで解こう
画面に表示させて解くよりも、紙に印刷をして、実際に手を動かして解くことを強くオススメします。
プリンター等がなくて印刷ができない場合は、最新の問題はありませんが、市販されている過去問集の最新版を買うことをオススメします。
時間制限を設け、最後まで真剣に解く
過去問は質・量ともに最高の練習素材です。自分の実力を正確にチェックする上でも、これ以上の問題はありません。
秒単位で正確に時間を計り、集中できる環境で最後まで解き切りましょう。もちろん、リスニングも忘れずに。
答え合わせも焦らず丁寧にしましょう。
3級以上は英作文がありますので、英語のできる人に頼んで採点してもらいましょう。
※どうしても英作文の添削を受けるのが難しい場合でも、英作文もきちんと書きましょう。そうすれば、英作文にどれくらい時間がかかるかの目安がわかり、全体の時間配分を決めることができます。
試験を詳しく知る
試験実施スケジュール
英検は年に3回実施されており、時期も毎年ほぼ同じです。
※次年度のスケジュールは、例年9~10月頃に発表されます。
2019年度 | 一次試験 | 二次試験 | |
---|---|---|---|
A | B | ||
第1回 | 6/2 | 6/30 | 7/7 |
第2回 | 10/6 | 11/3 | 11/10 |
第3回 | 2020/1/26 | 2020/2/23 | 2020/3/1 |
2020年度 | 一次試験 | 二次試験 | |
---|---|---|---|
A | B | ||
第1回 | 5/31 | 6/28 | 7/5 |
第2回 | 10/11 | 11/8 | 11/15 |
第3回 | 2021/1/24 | 2021/2/21 | 2021/2/28 |
- 一次試験の日程は日曜日実施のもののみ掲載しています。学校などで受験する場合は異なる日程になることがありますのでご注意ください。
- 2017年度以降、二次試験の日程がA、Bの2日設けられました(受験はいずれか1日です)。
※詳細はこちら
検定料
級 | 金額 |
---|---|
1級 | 9,500円 |
準1級 | 7,600円 |
2級 | 6,500円 |
準2級 | 5,900円 |
3級 | 4,900円 |
4級 | 3,600円 |
5級 | 3,000円 |
※上記の金額は本会場受験の検定料です。学校などで受ける準会場実施の検定料とは異なりますのでご注意ください。
一次試験の得点配分
次の表は各級の一次試験の得点配分をまとめたものです。
級 | R | L | W | 満点 |
---|---|---|---|---|
1級 | 850 | 850 | 850 | 2550 |
準1級 | 750 | 750 | 750 | 2250 |
2級 | 650 | 650 | 650 | 1950 |
準2級 | 600 | 600 | 600 | 1800 |
3級 | 550 | 550 | 550 | 1650 |
4級 | 500 | 500 | ― | 1000 |
5級 | 425 | 425 | ― | 0850 |
※R: Reading、L: Listening、W: Writing
2016年から導入された『英検CSEスコア』という合否判定方法では、一次試験をR・L・Wの3分野に分け(4・5級はR・Lのみ)、得点が等しく配分されています。
読解の配分が減少し、英作文の配分がかなり増加したと言えるでしょう。英作文の入念な対策が必要です。
一次試験の合格基準スコア
英検の公式ウェブサイトで公表されている一次試験の合格基準スコアをまとめました。
級 | 満点 | 合格基準スコア | 割合 |
---|---|---|---|
1級 | 2550 | 2028 | 79.5% |
準1級 | 2250 | 1792 | 79.6% |
2級 | 1950 | 1520 | 77.9% |
準2級 | 1800 | 1322 | 73.4% |
3級 | 1650 | 1103 | 66.8% |
4級 | 1000 | 0622 | 62.2% |
5級 | 0850 | 0419 | 49.3% |
2015年以前は、5~2級は60%前後、準1級と1級は70%前後が合格ラインだったのですが、5級以外のすべての級でラインが引き上げられているのがわかります。
こうなる前に取っておけばよかった・・・とか言わずに、今取れれば昔よりも価値がある!とポジティブに考えましょう。
上記の表を目安に、目標とする正答率を決めましょう。
一次試験の目標正答率と目標正解数
前項で見た表に従い、各級の目標正答率と、R・Lのそれぞれで正解すべき問題数をまとめました。
※目標正答率を合格基準スコアと同じにすると危険なので、各級数字を上乗せしています。
級 | 目標正答率 | 読解 | リスニング |
---|---|---|---|
1級 | 83% | 34/41 | 22/27 |
準1級 | 83% | 34/41 | 24/29 |
2級 | 83% | 32/38 | 25/30 |
準2級 | 80% | 30/37 | 24/30 |
3級 | 75% | 23/30 | 23/30 |
4級 | 70% | 25/35 | 21/30 |
5級 | 60% | 15/25 | 15/25 |
英検2級を例に取れば、一次試験全体の目標正答率は、合格基準スコアの77.9%に約5ポイントほど上乗せした83%であり、Rで38問中32問正解、Lで30問中25問正解を目指す、ということです。
『英検CSEスコア』という採点方法の導入で個人が正確に自己採点をすることは不可能であり、何問正解で何点、とは言えませんが、正解数のおおよその合格ラインの参考にはなると思います。
一次試験の時間配分
まずは一次試験全体の制限時間です。
筆記とリスニングの間に休憩時間はありませんので、両者を合計した時間のあいだはずっと集中し続けなければいけません。
級 | 筆記 | リスニング | 合計 |
---|---|---|---|
1級 | 100分 | 35分 | 135分 |
準1級 | 90分 | 29分 | 119分 |
2級 | 85分 | 24分 | 109分 |
準2級 | 75分 | 25分 | 100分 |
3級 | 50分 | 25分 | 75分 |
4級 | 35分 | 28分 | 63分 |
5級 | 25分 | 21分 | 46分 |
2016年から、1級~3級までWriting(英作文)が課されるようになりました。
これを踏まえて、筆記試験の時間配分を検討しましょう。
級 | 筆記全体 | 読解 | 英作文 |
---|---|---|---|
1級 | 100分 | 70分 | 30分 |
準1級 | 90分 | 65分 | 25分 |
2級 | 85分 | 65分 | 20分 |
準2級 | 75分 | 60分 | 15分 |
3級 | 50分 | 40分 | 10分 |
4級 | 35分 | 35分 | ― |
5級 | 25分 | 25分 | ― |
練習しないでいきなりぶっつけ本番という人は(本気で合格を目指して受験する人の中には)いないでしょうから、ある程度練習をした前提での配分です。
ただし、何を書くのか選べるわけではないので、題材によって得意・不得意が出るでしょう。表の数字はあくまで目安です。半分の時間で書こうが、倍の時間を使おうが、間に合えば何でもいいです。
英作文の勉強法の詳細は別のページに譲るとして、この項で一つだけ主張しておきたいことがあります。
「英作文は必ず最後まで書ききること。そのための時間を確保すること。」
これに尽きます。
『一次試験の得点配分』の項で見たように、得点配分はR(読解)パートと同じです。
・英作文まで時間が回らなくて書けなかった。
・考えがまとまらなくて、途中までしか書けなかった。
何を言おうが後の祭りです。
読解問題は30~40問ありますが、英作文は1問しかないのですから、1/1か、0/1か。2択しかないのです。
1書いたものが採点されて0.9になったり0.5になったりするのです。0では誰が採点しても0です。
絶対に最後まで書ききること。これを忘れないでください。
どうしても時間が足りないのであれば、Rパートから一部削ってください。
たとえば第1問の語彙問題の後半(熟語・文法)をとばすとか、読解問題を1題分とばすといった感じです。
Rの10%を削ってWを100%にする。そのようなイメージを持つようにしてください。
繰り返しますが、とにかく英作文は最後まで書ききってください。
どんなに中身の薄い話でもいいです。
書ききってください。
そのための時間を残しておいてください。試験開始と同時に書き始めるのもアリです。
以上、時間配分のお話でした。
リスニングについて
大学入試センター試験は各自にイヤホンが配布されますが、英検はそんなに贅沢な試験ではありません。
CDプレーヤーかスピーカーなどで流されます。
自由席の会場では、スピーカーに近い方が有利かもしれません。
問題は先読み可能です(とても重要)。
音声が流れる前に設問や選択肢にざっと目を通し、メモを書き込んだりして備えておくとスムーズに解答できます。
準2級以上は、英文は1度しか読まれません。
集中力がカギです。
採点方法が英検CSEスコア方式に変わったことで、合格点に対するリスニングの得点の比重が高まっています。
過去問などでしっかりと対策をしてから臨みたいところです。
二次試験について
英検ウェブサイトの「試験内容・過去問」の各級のページ下部に『二次試験』の項目があります。
サンプル問題や『英検バーチャル二次試験』などをよく見ておきましょう。
基本的に一次試験受験後からの対策で十分間に合います。
市販の参考書などでコツコツ頑張ろう
過去問集
何と言っても過去問をやるしかありません。
問題の形式に注意して、できるだけ最新の形式の問題を使いましょう。
単語帳
語学の試験で単語を覚えていなければ、返り討ちに遭うのは必然です。
二次試験対策用参考書
学校や塾などで対策ができる人はいいのですが、そうでなければ独学で乗り切るしかありません。
二次試験に必要なのは想定問答(質問される内容を予測し、それに対して完璧に答える練習)と笑顔です。
まとめ
最後に英検受験までの流れを簡潔に確認します。
1. プチ英検で受験する級を決定
2. 最新の過去問で実力を正確にチェック
3. 受験スケジュールを決める
4. 一次試験の勉強をコツコツと頑張る
5. 一次試験が終わってから二次試験対策開始
以上です。
採点形式が変わったことで、自己採点がしにくくなったのが難点ですが、わからない分、合否の結果が出るまでのソワソワ感が増したように思います。
では、さっそく受験に向けて動き出しましょう。
Thanks for reading!
コメント