信じられない見出しが目に飛び込んできた。
英語民間試験、活用未定大学に「ペナルティー」検討(外部リンク)
ペナルティーの内容は、大学入試センターから英語民間試験の成績提供を受けられないというもの。
文科省は、ペナルティーを設けることで大学に決定を急がせ、受験生の不安を解消させようとしているらしい。
なんともあきれた話だ。
大学は自分で欲しい学生を選別すればよい話なのに、なぜ国が勝手に進めたことを押し付けられなければならないのか。
方針未定の大学の多くは私立らしいが、それならばなおのこと、各大学の自由でいいじゃないか。
しかも驚いたのは日程だ。
記事によれば、文科省がこの措置を大学に通知したのが9月27日。そして、ペナルティーの期限は9月30日だという。
期限まで3日程度の猶予しかなく、しかも27日は金曜日である。土日を挟んで月曜が締切。ひどい話だ。国が主導して大学職員の土日の休みをつぶしている。
そんなに急遽決められた制度では、後からいくらでも欠陥が出てきそうだ。こんな措置をもって、「受験生の不安を解消させた。我々は仕事を果たした。」などと言われても、そこには不信感しか生まれない。
しかも記事によれば、文科省は今年6月、成績提供を受ける場合は2020年2月までに大学入試センターに申し込むよう各大学に通知したということである。
つまり、この措置を検討した人物は、自分たちの組織がつい3ヵ月前に大学に言ったことすら覚えていない(あるいは知らない)のだ。もちろんこれにGOサインを出した人物も同罪である。
前回の記事で、大臣が萩生田氏に代わり、大学入試改悪の状況を冷静に判断してもらい、改善の方向へ向かうことを期待したのだが、とんだ期待外れだったようだ。
英語民間試験、利用の延期と再検討を…全大教が緊急声明(外部リンク)
上記のように、反対の声は日増しに大きくなっているし、そこには生徒の利益を害するおそれがあるという明らかな問題点をはらんでいることは火を見るより明らかである。
このように、生徒、教師、保護者をはじめとした大学入試関係者を納得させることすらできていない状況下で、現状のまま大学入試改革を押し進めていくという方針自体がすでに期限切れであることを、文科省にはいいかげん認識してもらい、ただちにペナルティーを受けていただきたいと思う。
ペナルティーはもちろん『大学入試を主導する権利の剥奪』だ。
各大学にはぜひ、各々の大学に適した入試制度を利用・創設する自由、ひいては学生を選別する自由をしっかりと享受しておいていただきたい。
※ただし、小中学生程度の知識もない人間を合格させるような、およそ「大学生」を名乗るに値しない学生を出すことだけはやめていただきたいとも思っている。
国の未来は教育が作るということを、教育関係者は忘れてはならない。自戒も込めて。
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