慶應義塾大学-経済学部の自由英作文について、最新2018年度の問題を分析し、対策を考えていきたいと思います。
問題はこちらを参照してください。
概評
語数 | 難易度※1 | 傾向変化※2 |
---|---|---|
150語程度※3 | 標準的 | 小さめ |
※2:当該学部の昨年度対比での変化の有無と大きさです。
※3:指定はありませんが、解答用紙の大きさ等から判断しています。
所感
設問指示や目安語数等において、ほぼ例年通りの傾向でした。
ただし、設問の指示文が、これまでの『自分の意見と異なる見解にも言及すること』から、『自分の意見と異なる見解に言及し、それに反論すること』となったのは、小さいですが重要な変化です。
いつものことながら、引用する箇所を探しながら本文を読むのは少し億劫ですが、今回与えられたテーマ自体はどちらもありがちなものだったため、難しくはありませんでした。
分析
本文の一部を引用しつつ、与えられたテーマに関して自分の意見を答える形式で、2012年から続いています。
今年度は『(A)日本政府は飲酒可能年齢を18歳に引き下げるべきか』『(B)日本政府は死刑を廃止すべきか』の2つでした。
所感の項にも書いた通り、今年度のテーマは練習などでもよく取り上げられるものであり、自分の意見の方向性が予め決まっている人も多かったのではないでしょうか。
このような場合、作業としては引用すべき部分を探すだけなので楽です。
ただし、設問の注意点にもある通り、『自分の意見と異なる見解にも言及し、それに反論をする』のを忘れずに。
対策
大学・学部を問わず基本的な自由英作文対策はこちらをお読みください。
上の記事を前提として、個別対策の話をします。
慶應経済は読解融合問題です。
特殊な形式なので、上の記事内容には反しますが、まず過去問を解くことをお勧めします。2012年度から今年までで7年分ありますので、すべて解きましょう。
おすすめの解き方は以下の通りです。
(1) 先に設問に目を通します。こうすることで事前に英文の概要が理解できますし、特にどこに気を付けて読めばよいかもわかります。
(2) 続いて、本文を読みながら引用できそうな部分に下線を引いておきます。あまり多くなり過ぎないよう、ピンポイントで引くことを心がけます。
(3)本文を読み終えた時点で、自分の意見の方向性と結論を決め、軽くメモを取っておきます。
その後は、メモがうまくまとまればそのまま英作文を始め、まとまらなければ他の設問を解いてから再度取り掛かるのでもよいでしょう。
もちろん、本文を読みながら細かい設問を解き、英作文に集中できるようにするのもいいでしょう。
これは好みの問題かもしれませんが、全体を理解しようとする際はなるべく寄り道をせずに(細かい設問に気を取られずに)最後まで通して読むほうがいいのではないかと個人的には思います。
※ただ、そうすることで小問を解く時間が足りなくなるようならやめておいたほうがいいかもしれませんが、練習で一度はやってみることをお勧めします。
ここから先は一般論になりますが、内容としてはやや高度です。慶應経済を志望するレベルの受験生であればぜひ覚えておいてもらいたいことを書いておきます。
一番の対策は、読解の際に常に英作文を念頭に置くということです。
簡単に言うと、筆者が主張している考えに対して、自分はどう思うか(賛成か反対か)ということを、いつも頭に浮かべながら読むようにするということです。
時間が許すなら、その読解内容から自分でテーマを作り、それに答える英文を書くということをやってもいいとは思いますが、それはすでに作問者と同じ作業であり、さすがにそこまでの訓練を要求するような難易度ではありません。
実際に英文を書かなくても、頭で考えるだけで十分訓練になりますので、安心してください。
日本人にとって英作文というものが特殊問題のような位置づけであるがゆえに忘れられがちですが、本来書くということは読むということと表裏一体です。
読解文を通して、筆者の文体を真似て自分でも書いてみるというのは、絵本やマンガを見ながら好きな場面やキャラクターを色鉛筆で描くのと根本的には同じことなのです。
たくさんの文を読み、書き方を無意識のうちに覚え、いつか自分の言葉で書く日に備える。
こう思いながら英文を読むことが、本当の英作文対策の第一歩だと言えます。
最後に、主な読解融合問題を出す大学をご紹介しておきます。参考にしてください。
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