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第6問の解答・解説・和訳
本文全訳
(1)
自動販売機は日本ではとてもありふれたものであり、ほとんどどこに行っても見つけることができる。中には鉄道の切符や食事券を売っているものや、軽食や飲み物を売っているものもある。これらは特に、素早く手軽にものを買いたい人々にとって重宝している。
(2)
今日では自動販売機は国内のあらゆる場所で目にすることができるが、これらはもともと日本で作られたものではない。一般的には、およそ2,200年前にあるギリシャ人の数学教師によって初めて作られたと考えられている。この機械が売っていたのは、礼拝の際に使われる特別な水であった。この水の購入を希望する者が硬貨を入れると、その硬貨はひもの付いたレバーに当たるようになっていた。すると、その硬貨の重さによって、それが下に落ちるまで一定量の水が注がれるというものだった。これにより、人々は特別な水を同じ量だけ受け取ることができたのだ。
(3)
およそ1,000年前、中国で鉛筆を売る自動販売機が開発された。その後、1700年代になると、硬貨投入式のタバコ販売機が英国の居酒屋に登場した。この販売機の製品が欲しいとき、人々は硬貨を挿入してレバーを回した。すると、購入者が取れるように製品が下に落ちてくるというものであった。しかし、1880年代になるまで自動販売機が世界中に普及することはなかった。1883年、ある英国人発明家が葉書と新聞を売る自動販売機を作った。これが人気を博し、新聞や切手、その他さまざまな製品を売る自動販売機が多くの国々に現れた。1904年、日本で自動販売機の利用が開始した。1926年には、技術の発展によって、値段の異なる製品を販売する機械を設置することが可能になった。それ以降、より多様な製品の販売がなされるようになった。これにより、自動販売機産業は急速に拡大した。
(4)
世界的な自動販売機産業がその拡大を遂げるにあたり直面した最大の問題は硬貨の使用ではなかった。それは紙幣だった。これが難題であった。というのも、ずる賢い人間が機械を欺く貨幣を作ることは容易いことであることが判明したからである。このため、自動販売機産業はより精度の高い検知方法を構築しなければならなくなったが、同時に各国が偽造しにくい貨幣を開発するための措置を講じる理由にもなった。今や、自動販売機は技術的な進歩を遂げ、現金に関する問題を防ぐのみならず、クレジットカードや、さらに新しい形の電子決済にも対応するようになっている。
(5)
自動販売機の人気が最も高いのは日本である。現在、日本には420万台以上の自動販売機があり、そのうちの55%はお茶、コーヒー、ジュースといった飲み物を売るものである。日本が世界における自動販売機の中心地となった理由の一つは、国全体の安全性の高さである。自動販売機が盗まれないように監視していなければならない地域とは違い、日本ではほぼどんな場所にも設置することが可能である。この公共の安全度の驚くべき高さは日本を訪れる人々を驚嘆させているが、購入できる製品の種類の多さもこれに一役買っている。観光客は、バナナや卵、袋に入った米などの予想だにしない製品を売る自動販売機をしばしば写真に収めている。海外の人々にとって、自動販売機が日本文化に特有な側面の一つと見なされるのも無理もないことである。
(6)
こうした自動販売機の人気と便利さを考えると、近い将来においてこれらが消えてなくなる可能性はとても低いだろう。自動販売機が提供するのは、人手を必要とせずにさまざまな製品を販売することのできる場所である。今度、ある寒い日に温かい飲み物を購入したいと思ったら次のことを思い出そう。少なくとも日本では、きっとすぐそこに自動販売機があるはずだということを。
A
問1 答:①
第2段落によると、最初の自動販売機はどのようなことが可能であったか。
①人々に一定量の液体を入手させること
②古代ギリシャの数学的原理の本を提供すること
③礼拝を望む人々に寺院へ入ることを許可すること
④自動販売機の製作者に一定の収入をもたらすこと
【解説】
4行目の”This machine sold special water used in prayers at temples.”の文とそれ以降の内容から①が正解であると判断できる。②、③、④はいずれも本文に記述がない。
問2 答:③
第3段落によると、自動販売機に関する次の記述のうちどれが正しいか。
①ある英国発明家の自動販売機は製品をさまざまな値段で販売した。
②高い価値の硬貨が登場すると自動販売機の売り上げが増加した。
③自動販売機の技術は何世紀も昔のアジアで発見された。
④自動販売機は18世紀までに世界中に普及した。
【解説】
第1文の”About 1,000 years ago, a vending machine that sold pencils was developed in China.”という記述は③と合致する。①、②は本文に記述がなく、④は6行目の”In 1883, ~.”の文と7行目の”This became popular, and soon ~.”の文から18世紀が誤りであると判断できる。
問3 答:②
第4段落の下線を施された単語counterfeitの意味に最も近いのは次のうちどれか。
①違法な交換を容認する
②無許可の模造品を作り出す
③無認可の技術を規制する
④不必要な支援を打ち切る
【解説】
下線部を含む文の後半部分”countries took steps to develop money that was difficult to counterfeit“を和訳すると「国々がcounterfeitすることが難しいお金を開発するための措置を講じる」となり、②が正解とわかる。counterfeitは動詞で「(紙幣・書類など)を偽造する」の意で、旧帝大などの難関大学および英検準1級以上を受ける予定の人は知っていなければならないレベルの単語。
問4 答:④
第5段落によると、日本の自動販売機について正しいのはどれか。
①外国人観光客はこれを利用して製品を購入することを躊躇する。
②その4分の3以上が種々の飲料を販売している。
③これらが販売する非常に安全性の高い製品は購入者を引き付ける。
④商品の種類の多さが日本の自動販売機を世界の中で独特なものにしている。
【解説】
8行目の”Tourists often take pictures of machines that sell unexpected products like bananas, fresh eggs, and bags of rice.”から④が正解と判断できる。①は本文に記述なし。②は2~3行目の”with about 55% of them selling beverages”より「4分の3以上」が誤りとわかる。③は3~4行目の”One of the main reasons ~ is overall level of safety.”などから、本文には「日本の安全性(治安)」についての記述はあるが「製品の安全性」については書かれておらず誤りであると判断する。
問5 答:②
この記事に最もふさわしい見出しは何か。
①日本社会における自動販売機の文化的利点
②歴史的観点からの自動販売機の発達
③国際比較による自動販売機の経済的影響力
④現代科学技術を通じた自動販売機のグローバル化
【解説】
見出しは全段落の内容に合致するものでなければならないため、各段落の概要を以下にまとめる。
- 自動販売機の簡易説明。
- 自動販売機の誕生とその機能。
- 自動販売機の発展の流れ。
- 自動販売機が直面した問題とその解決から現在に至るまでの進歩。
- 自動販売機が最も普及した国での特徴。
- 自動販売機の未来と、おそらく日本人でない読者への語りかけで締め。
以上を踏まえると②が正解であるとわかる。①、③、④はいずれも歴史的観点ではないため誤り。
B
答:② ④ ③ ①
①自動販売機が一つの国の中で広く存在することを可能にしたある一つの要素
②自動販売機の創造とその装置がどのように使われたかの説明
③異なる形の貨幣が導入された後の自動販売機製造における困難
④過去におけるさまざまな場所での自動販売機が販売する製品の種類
【解説】
本文を読むのと並行して解答していくとスムーズに埋めていける。A問5とも連動しているので、問5の解説がそのまま適用できる。逆もまた然り。
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